瑞泉寺から帰りの道沿いで見たアジサイ
北鎌倉駅~明月院~鎌倉アルプス~鎌倉駅のGPS軌跡
今は観光地として大変な賑わいを見せる鎌倉だが、その昔ここには自然の地形を生かした鎌倉幕府が作られた。鎌倉の地形は南に相模湾があり他の三方を山に囲まれた自然の要害地のようになっている。周辺から鎌倉の地に入るには切通し(山を切り開いた狭い通路)を通らなければならず、防御しやすい地形といえた。鎌倉時代とは、1185年に壇ノ浦の戦いで平家が滅亡し、1192年に源頼朝が征夷大将軍に任じられ、1333年に鎌倉幕府が滅亡するまでの148年間である。その間、鎌倉は日本の政治において最も重要な位置のひとつを占めていた。今日はこの自然の要塞ともいえる鎌倉アルプスとアジサイが見頃の寺社を巡ってみることにした。最初に北鎌倉駅から3分の東慶寺のイワタバコを見に行った。しかし8時半開門ということで明月院を優先したため見ることはできなかった。
天園(てんえん)の名前の由来。天園ハイキングコースは通常、北鎌倉駅から建長寺の境内に入ります。そして半僧坊から尾根伝いに十王岩、大平山、天園、天台山を下り瑞泉寺、大塔宮に至るコースです。大平山から南へ少し下ったところに天園峠の峠の茶屋があります。このあたりにはかっての日露戦争で連合艦隊司令長官として旗艦三笠で指揮をとった東郷平八郎元帥の別荘があったといいます。ここは元の名を六国峠といいました。東郷平八郎はこの六国峠を「天の園のようだ」と言ったことから「天園」と名付けられたようです。建長寺から天園ハイキングコースへ入るには拝観料300円を払って入場します。別名アジサイ寺の明月院の拝観料は通常は300円ですがアジサイの時期だけは500円です。平日にも関わらず500円を払ってでも見たい大勢の人々が列を作って待っていました。我々もその一員になります。明月院が開門され続々と入場します。アジサイの数より人の数のほうが多いくらいです。
鎌倉アジサイ寺、明月院の開門時の行列
ほとんどの人がカメラやスマホを持っていてアジサイを撮影するので通過に時間がかかります。方丈という建物の円窓は窓越しに本堂後庭園が見えるのですが、撮影の人が多くうまく写せませんでした。そして肝心のアジサイはというと紫色の小ぶりのアジサイが多く特にこれはという印象はありませんでした。1時間くらい鑑賞する予定でいましたが境内はそれほど広くなく30分ほどで見終わってしまいました。開門前に並んでいたときに気になっていました。道路脇の水路にイワタバコのような植物がありそれを見に再度確認しに行きます。近くで見るとやはりイワタバコでした。なんで平地の鎌倉にイワタバコがあるのか不思議な感じでした。鎌倉はアジサイと並んでイワタバコも各寺や各地に生えていて有名なようです。
鎌倉アルプス、明月谷入口付近の詳細図(印刷ページ)
分岐1、この塀の所を右折する
ここを歩いていくと150mほどで下の写真の標識が出てきました。ここを左折します。
分岐2、この標識の所を左折する
100mほど進むと行き止まりになります。階段状の鎌倉アルプス(天園コース)の明月谷入口です。右側に桐慕(トンボ)茶屋なる建物があります。ここは看板だけは出ていますが営業している様には見られませんでした。
明月谷入口。右側に桐慕(トンボ)茶屋がある
最初は滑りやすい階段状の登り口です。更に階段が続きます。
明月谷入口から登って行くと緩やかになる
階段を登って行くと周囲の藪がなくなり明るくなります。登り切るとピークに達し今度は下りに転じます。この下りは予想と違い意外でした。下りきるとT字状になります。ここを左に向かいます。
コースから建長寺寄りの展望台から
尾根伝いをしばらく歩くと建長寺からの道と合流します。ここを少し建長寺側に下ると展望台があります。ここは建長寺の眺めはもとより南面が180度展望が開けています。
展望台からは鎌倉の街並みと海が眺められる
展望台からは鎌倉の市街地と海が見えます。中央の広い道路は鶴が岡八幡宮からの道路です。周辺は緑が多く市街地は意外に小さいことが判ります。ここで展望を楽しんでいると先ほどすれ違った小学生の一団が大勢やってきました。ここには先着の中高年グループが10数名が休憩していたのですが、小学生の一団に場所を譲るような形で出発していきました。我々もそれに続いて出ていきます。小学生の先生が場所を指さしながら鎌倉の歴史の話をしていました。
大平山周辺からみた横浜ランドマークタワー
鎌倉アルプスの尾根道の地質は凝灰質砂岩というそうです。凝灰質砂岩(ぎょうかいしつさがん)は堆積岩で主成分の砂に火山灰が混じって固まってできました。鎌倉ではこの岩を鎌倉石といい、柔らかくて加工し易く、耐火性があるので、かっては寺社や家屋、土蔵などの建築石材として盛んに利用されました。鎌倉アルプスの尾根道にこの鎌倉石なる凝灰質砂岩が至る所にあります。この岩は灰色をしていて柔らかいので登山靴に踏まれて丸くなっています。
鎌倉アルプスの最高地点大平山(159m)
大平山の山頂に到着しました。ここは下がゴルフ場になっていてすぐ目の前に変わった形をした古いクラブハウスが見えます。大平山の黄色い標識があり「159.2m 鎌倉市最高地点」と記されていました。ここの木陰でお昼タイムです。爽やかで心地よい風が吹いています。先ほどの中高年のグループが到着しましたが、下の広場に降りて行って木陰で休憩しています。我々が休憩を終え山頂から下って見上げると山頂は特徴的な土(岩)に覆われていました。これが凝灰質砂岩(鎌倉石)のようです。
6月の花、ドクダミ
6月なので天園ハイキングコースのあちこちにドクダミの花が目につきました。あまりにも身近な植物なために注目されることはありませんが、古くから食用(天ぷらやお茶など)や漢方に利用されてきました。よくよく見ると独特な花の形をしています。峠の茶屋はそれらしい建物がありましたが、寄ることはせず通り過ぎてしまいました。
瑞泉寺の山門
瑞泉寺へ下る分岐点で右折します。今まで標高140m程度を保っていたのがここから急に下りに転じます。凝灰質砂岩の道が連続します。滑らない様に注意しながら下って行きます。しばらくの下りでようやく建物が見えてきました。道路に降り立ち標識を見ると瑞泉寺は右方向に100mほど行くのでした。200円の拝観料を払って境内に入ります。ここは花の種類は多いがアジサイは少なめでした。ここも広いとは言えないところで15分足らずで見学し終わりました。
瑞泉寺の庭園。これは天女洞と呼ばれる洞穴
瑞泉寺の庭園。天女洞の左側にこの石庭がある
瑞泉寺を拝観し、いよいよ最後のコースになります。瑞泉寺を出て車道を歩いて大塔宮(鎌倉宮)へ向かいます。道路脇にアジサイが植えられていて丁度見頃になっています。明月院のアジサイよりも瑞泉寺のアジサイよりも、見事なアジサイが十数メートルほども続いていました。
1063年に始まる鎌倉・鶴が岡八幡宮の本宮
今日は梅雨の晴れ間で日差しが強いです。手元の温度計を見たら32℃ありました。鶴が岡八幡宮に入ると広い通路は土で作られていました。やはり石畳やアスファルトよりは足に優しく、そして夏は涼しい感じがします。本宮に向かって歩いて行くと左手に池が見えました。どうやらここが源平池のようです。池の前のベンチに腰掛けて池を眺めます。池の奥のほうには蓮の葉がたくさん浮いています。手前の水辺では鯉が盛んに動き回っています。鯉は時折白い腹を見せて飛び跳ねたりもします。岸辺ではカメが何匹も甲羅干しをしていました。そして足元では鳩が慌ただしく動き回っています。初夏のまぶしい光の中で夢のような光景です。先ほどベンチのそばで立って何かを食べていたおじさんが岸辺の脇に座って匙で餌をカメにあげていました。何匹ものカメが群がり首を伸ばして餌を食べています。不思議なことにおじさんはカメのほうには目をやらないでこちらのほうばかり見ています。きっと注目されるのが嬉しいんでしょうね。
源平池での休憩を終え鶴岡八幡宮の本宮に向かいます。流石に鎌倉で一、二を競う観光名所です。本宮に続く通りには大勢の人が歩いていました。老若男女、学生、外国人観光団などなど。本宮への階段手前には以前強風で倒れた大イチョウの木が一部残されていました。その右隣りには移植した若木が植えられていました。本宮での参拝を終え鎌倉駅に向かいます。鎌倉駅に向かうにつれ行きかう人が多くなり、ますます混みあってきます。あまり人ごみに慣れていないので目まいがしそうです。小町通りに入ると更に混雑してきます。連れが「あんみつが食べたい」というので甘味処を探しますが中々見つかりません。ようやく見つけて2階へ行く階段の途中で順番待ちをします。15分くらいで順番が回ってきました。クリームあんみつと、ところてん三杯酢を頼みます。私の頼んだところてん三杯酢は酢が強すぎてむせそうになりました。辛子も少なくて物足りなく私にはスーパーで買う100円のところてんの方が旨いと思いました。ただクリームあんみつの方は上品な甘さで美味しかったようです。どうやら私は貧乏性で上品なのは合わないようです。そんなことを思いながら雑踏の中を鎌倉駅に向かいました。