大弛峠~夢の庭園~国師ヶ岳~北奥千丈岳のGPS軌跡
2か月半ぶりの山歩きである。なにせ今年は天気が悪い。ここのところ平日は用事があり、行ける日は土、日と祭日のみ。そして天気の悪い日は無理して行かないので行ける日は当然限られてくる。それで延び延びになってやっと今日実現したわけである。実は北奥千丈岳は一昨年の9月末に行ってその素晴らしさに感動した。特に夢の庭園上部から見た北奥千丈岳の紅葉と、国師ヶ岳からの富士山の眺めだ。その景色をもう一度見たいと思っていた。紅葉の時期の9月下旬と10月上旬の土日に照準を合わせていたが天気が悪く見合わせていた。そして紅葉には遅いがやっと10月半ばで天気がよさそうなのでバスの予約をする。
大弛峠の標識
塩山駅北口へ降りると既に大弛峠行の小型バスが停車して待っていた。名前を告げてバスに乗り込むと山友達に出会う。元の山の会の仲間だ。今日は日帰りで金峰山に登るのだと言う。帰りは仲間の車で帰ってくるらしい。それならば時間を気にしなくていい。大弛峠行バスは補助席まで使って満杯になり定時に出発する。運転手さんの話では今年は長雨で紅葉が良くないと言う。カラマツも黄色くならないで茶色になっているようだ。柳平から先は林道で道が狭くなるためか、9人乗りのジャンボタクシーに乗り換える。車は曲がりくねった林道を次第に高度を上げて登って行く。確かに今年は紅葉の色づきが悪い。標高2000m付近でも紅葉がちらほらで、カラマツが茶色になっている木が多かった。大弛峠に近づくと駐車場に入り切れない自家用車が延々と路肩に駐車している。これでは片側通行しかできない。このような状態ではいずれ規制がかかるのは目に見えている。
夢の庭園の表示板
標高2360mの大弛峠は山梨県と長野県の境界だ。手前が山梨県甲州市、そこから先は長野県川上村となり無舗装の林道が伸びている。大弛峠から針葉樹の森の中を15分ほど登ると夢の庭園への分岐が出てくる。直進しても右折しても大して変らないので、ここは迷わず展望の良い右の夢の庭園へと向かう。
秩父多摩甲斐国立公園 夢の庭園由来
高山植物のマットの上に、巨岩と灌木が自然の采配によって巧みに配置されたこの庭園は、昭和35年、当時山小屋管理人をしていた山本今朝忠さんが発見(登山ガイドブックなどでは「小屋の管理を委託されていた佐藤宗利さんとの両名」とされています)し、夢の庭園と名付けられて紹介されるようになりました。
夢の庭園から金峰山方面を見る(左から二つ目が金峰山五丈石)
夢の庭園と北奥千丈岳、国師ヶ岳周辺は公園と言っていいほどにきちんと整備されている。階段も丸太ではなく登りやすい板の木階段である。夢の庭園へ登って行くとすぐに朝日岳から金峰山に連なる稜線が見えてくる。金峰山の五丈石もはっきりと見える。
夢の庭園から後方は南アルプス(右端が甲斐駒ケ岳)、写真中央は茅ヶ岳
夢の庭園の階段を登って行く
夢の庭園下部からは麓の風景や、金峰山と南アルプス方面が良く見える。木階段が続くが更に登って行くと右手に緩やかな山容の北奥千丈岳が見えてくる。天気が良い日は北奥千丈岳の右手に富士山も見える。
ナナカマドの葉と赤い実
夢の庭園は巨岩がゴロゴロとしていてその間にベンチが二か所設置されている。付近はダケカンバやナナカマドやシラビソ(シラベ)、コメツガなどの針葉樹が多い。
針葉樹の奥に甲武信ヶ岳が見える(中央)
夢の庭園上部から急な階段の連続を登って行く。上り詰めると稜線に出てすぐに前国師が岳(標高2576m)の山名板がある。階段を下り更に進むと三繋平にでる。ここは北奥千丈岳と国師ヶ岳への三叉路となっている。富士山が見える国師ヶ岳(標高2592m)を先に行くことにする。国師ヶ岳からは三宝山、甲武信ヶ岳、木賊山の山並みが見える。雲がかかる前にと思っていた富士山の山頂付近には既に雲がかかっていた。ジャンボタクシーで大弛峠へ向かう途中の富士山は雲がなかったのに…。
国師ヶ岳より乾徳山(中央)
国師ヶ岳山頂からは眼下にずんぐりと丸い黒金山とその右手には広葉樹の山肌の乾徳山が鋭鋒を見せている。
北奥千丈岳付近の針葉樹の森
周辺はシラビソ、コメツガの針葉樹が多い。白く立ち枯れた枯れ木立はシラビソのものだろうか。岩場の山頂付近はハイマツも見受けられた。それらに混じってナナカマドやハクサンシャクナゲが至るところにあった。花の咲く6月ごろは見事な風景が広がっていることだろう。ゴゼンタチバナが赤い実を付け、イワカガミの葉も少し紅葉していた。富士山の雲が取れそうにもないので国師ヶ岳山頂を後にする。
北奥千丈岳より金峰山方面を見る
国師ヶ岳からは三繋平(ミツギダイラ)を経て15分くらいで北奥千丈岳へ到着した。北奥千丈岳山頂の岩の上に座って昼の休憩をする。吹く風は弱いがもう冬を思わせる冷風である。ダウンジャケットを着て耳あてをする。うで卵をむく指がかじかんできた。岩陰に場所を変えて風を避ける。温度計を見ると6℃を指していた。
北奥千丈岳より国師ヶ岳(左上の白い岩が山頂。後方は甲武信ヶ岳と木賊山)
北奥千丈岳は標高2601mで奥秩父最高峰である。奥秩父の盟主ともいえる金峰山はそれよりわずか6mほど低い。北奥千丈岳の山名は実に奥深い山を想像させる。かってこのあたりは奥仙丈山、奥千丈と呼ばれれていたそうだ。その名の由来は木暮理太郎(明治・大正・昭和期の登山家)が付けたものだという。しかし北奥千丈岳の南側には奥千丈岳があるが、千丈岳の名はないのは何故なのか?
北奥千丈岳の岩上に立つ
連れはどうも高いところが好きらしい。といっても2mほどの岩なのでそれほどのこともないか。
夢の庭園より岩峰群
北奥千丈岳でゆっくり過ごしてから山頂を後にする。来た道と同じ道をたどって行く。木階段の下りが連続する。「こんなにも登ってきたっけ」と思うくらいだ。夢の庭園に戻ってここでもしばらく休憩する。日が西に移動して午前中に見たのとは山肌の陰影が違う。朝日岳右側の岩峰群の彫りが深くなったように見える。
夢の庭園より朝日岳への稜線
手前の朝日峠までは暗い針葉樹林帯の中だ。それから少し明るくなって斜面の登りが続く。斜面を登りきると朝日岳への緩やかな稜線が伸びている。「あのあたりの明るい稜線を歩いたら気持ちいいだろうな」と思いながら眺める。
大弛峠駐車場より北奥千丈岳方面を見上げる。
夢の庭園を後にして10分ほど下る。山小屋の屋根が見えてきて大弛小屋に到着した。連れが記念に何かを買いたいと見えて小屋に入る。若い三人連れの女性がキャンプ場の申し込みをしていた。連れが北奥千丈岳のバッジを買った。小屋の近くの平坦地で先ほどの若い女性達がテントを張る準備をしていた。大弛峠の駐車場に出て、金峰山方向の山道を少し歩いて見る。金峰山方面から降りてくる人が多い。暗い樹林帯なので面白味がない。ほどほどにして駐車場に戻る。駐車場脇の樹林の下でもテントを張る人たちがいた。駐車場からは先ほど登った北奥千丈岳の山体が大きく聳えていた。ここでキャンプをしたら夜空の星がきれいだろうなあ!
大弛峠~夢の庭園~国師ヶ岳~北奥千丈岳のコース断面図
コースタイム 歩行2時間20分 距離3.6km 累積標高±326m
JR中央本線塩山駅北口(バス\1000)9:30~柳平(バス乗換\800)~9:56大弛峠→夢の庭園→前国師ヶ岳→11:20国師が岳11:30→11:40北奥千丈岳12:40→13:20夢の庭園13:50→14:00大弛峠(バス)14:45~柳平15:30~16:12塩山駅。
過去に行った奥秩父の山の記録です。
H26/09/27 北奥千丈岳~金峰山~瑞牆山