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東京の山・神奈川の山・関東周辺の山を夫婦で「気ままに山歩き」登山・ハイキング・トレッキングの山行記録です。

日向薬師~日向山~白山~飯山観音日向薬師~日向山~白山~飯山観音

日向薬師~日向山(404m)~白山~飯山観音
平成29年(2017)4月5日(水)2名

     

6年間に渡る平成大修理を終えて完成した日向薬師

日向薬師~日向山~順礼峠~白山~飯山観音のGPS軌跡。丸印は道迷い部分、詳細図参照

 

伊勢原駅北口の新松田寄りの3番バス乗り場から日向薬師行に乗る。乗客はそれほど多くなく全員座れる程度であった。ただ山へ行く服装の人は数えるほどである。終点の日向薬師で降りると、そこはバスの転回広場になっていてきれいなトイレも設置されている。広場の隣には大きなコブシの木があり花はもう終わりに近かったが空一面に咲いていた。広場の前の道路を右に20mほど行くと左に日向薬師の参道がある。緩やかな坂道と階段で途中に仁王門がある。距離にして約500m、20分程度の登りである。

真新しい茅葺屋根の日向薬師

日向薬師は平成の大修理が平成28年11月20日に終わり完成した。真新しい本堂の中に入ってみると中央に賽銭箱が置かれている。賽銭箱の左には素朴な顔立ちをした聖徳太子像があり、賽銭箱の右には小さな白衣観音像と更にその右に「びんずる尊者」像が置かれている。堂内の左端には若い僧が二人、受付けをしたり筆を走らせていた。そして賽銭箱の上にあるご本尊の前には「堂内撮影禁止」の張り紙があり、その隣に「薬師如来真言 おん ころころ せんだり まとうぎ そわか」の張り紙がある。この意味の分からない言葉は何かと思ったら、これは薬師如来の真言(しんごん)でした。これは「真実の言葉、秘密の言葉」とされ呪文やおまじないのような言葉なのです。真言(マントラとも言います)は古代インドで発祥した仏教をサンスクリット文字でそのまま唱えるものです。なので真言は意味を考えて唱えてはならないと言います。もともと言葉の内容よりもそれを発音すること自体に意味があったからです。ですが、あえて意訳すれば「薬師さま、センダリとマトウギの神を動かして早く病気を治してください。」となるでしょうか。(センダリ、マトウギはそれぞれ病気を治す女の神です。)

仏教はお釈迦様が開いた教えですが、その多くの流れの一つに密教があります。
密教では仏は如来、菩薩、明王、天の4つに分けることができます。
・如来は悟りをひらいた仏(釈迦如来、大日如来、阿弥陀如来、薬師如来ほか)
・菩薩は如来になるための修行中の仏(観世音菩薩:観音さま、千手観音菩薩、文殊菩薩、地蔵菩薩ほか)
・明王は如来が化身した姿で悪人を従わせるために怖い顔をしている。(不動明王、愛染明王ほか)
・天は地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天という六道の天にいる仏(七福神の弁財天ほか)
如来にも数多くありますがその内代表的な四如来が釈迦如来、大日如来、阿弥陀如来、薬師如来です。
薬師如来は薬壺を持ち病気を治す仏で、現世での苦しみを取り除き安泰を司るとされています。
そこで、薬師如来の真言「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ」です。
センダリは「チャンダーリー」が変化したものです。マトウギ(マトーギ)は「マータンギー」が変化したものです。これらはもともと古代インドで狩猟や漁業や屠殺を生業とした最下層種族の女性を指す言葉であったのです。差別的扱いを受けた女性の名称がいつしか厄災や病気を取り去る女神の名称になりました。 神は人を超えた支配する力を持つのに対して、仏は悟りを開いて人に教えを説くものです。きっと薬師如来は仏なので神を動かして人の病気を治すのでしょう。センダリ、マトウギという病気を治す女神を動かして、人の病気を治して苦しみを取り除くのです。神と仏が混在するのも不思議と言えば不思議ですが、宇宙の真理は一つなのですから神も仏も素は一つです。それが自然と言えば自然でもありますね。

日向薬師正面の軒下には龍や獅子、象の彫り物がある

日向薬師は奈良時代の初めの霊亀2(西暦716)年に僧行基(ぎょうき)により開創されたといわれています。僧行基が熊野を旅していた際に薬師如来のお告げにより神奈川県伊勢原市のこの地に、日向山霊山寺(ひなたさんりょうぜんじ)として開山したと伝えられています。本堂は過去数度にわたり改修されています。今回の大修理前の本堂は万治3年(1660年)に丹沢の立木や前本堂の古材を使って修造されました。しかし老朽化と虫害のため平成22(2010)年11月より本堂の大修理が行われました。この平成大修理が行われたのは350年振りにして3回目とのことです。平成大修理の施工期間は平成22年11月から平成28年11月18日の6年間です。そして平成28年11月20日に完工しました。

日向山から下りきった鞍部にある亀石への標識

日向薬師本堂から上に登って行くと宝物殿があり更に茶店や無料休憩所、トイレがある。その上に車道があり駐車場がある。日向山には駐車場の前方脇から登って行く。緩やかなトラバース道でゆっくり高度を稼いでいく。20分ほど歩くと分岐点が出てくる。左に行くと梅の木尾根、右が日向山である。日向薬師からここまで標高差110mほどの登りである。日向山へはここから標高差60m、十数分程度の登りである。最初は急な木階段の登りだが次第に緩やかになる。そして日向山は緩やかな起伏を越えた先にある。日向山の展望は良くない。南面から市街地が幾分見える程度である。ここで少し休憩してから左へ下る道を行く。下り切ると鞍部になっていて進行方向は見城山(みじょうやま)で右が亀石の標識がある。ここは右の亀石へ下ることにした。ここから亀石の車道まで標高差140m位の下りとなる。この車道は先ほどの日向薬師の車道に続いている。車道に降り立ったら左方向に行く。やがて出てくる二股の道を左に進むと七沢温泉のバス停が出てくる。バス停から400~500m程進むと左に旅館盛楽苑が出てくる。盛楽苑の裏に順礼峠の標識がある。前回も今回もここを見落として回り道をしてしまった。先に進むと細い道になるがどこまでも道なりに進む。突き当ったら右に曲がり直ぐに左に曲がる。ここからは順礼峠の案内板が要所にある。


順礼峠への登り口付近からの大山

民家がなくなり山道に入って行く。順礼峠まで標高差80mほどの登りになる。ここで昼の休憩とする。下のほうで何やらほら貝のような音が聞こえてくる。下を見ると緑の芝生の広場のようになっている。休憩のあとこの広場を歩いてみることにした。この広場は「森のアトリエ」というところでした。先ほど聞こえたほら貝のような音は誰でも自由に吹けるアルプホルン(スイスの楽器)でした。

神奈川県立七沢森林公園は丹沢山地の東端に位置し標高は70~197m(関東ふれあいの道)です。かつては里山として近隣住民の生活に利用されてきましたが、都市化が進んだ昭和55(1980)年代になり隣接地域の森の里で宅地造成がされることになりました。しかし、この地域は急傾斜地もあり以前から土砂流出防備保安林としても維持されてきました。また人々の生活の中で育まれてきた雑木林も多く残っています。そのため、これらの地形やかつての里山環境を活かした形で都市公園として整備されることとなり平成2(1990)年4月1日に開園しました。この森林公園は広さ64.6haで神奈川県立公園では最大規模の都市公園です。園内は広範囲にわたり雑木林で覆われ沢も流れ様々な自生植物や野生動物の姿が見られます。かつての里山の面影を色濃く残す都市公園になっています。七沢森林公園には多くの施設がありますが「森のアトリエ」もその一つです。森のアトリエでは陶芸や木工など自然の素材を生かした創作体験の場になっています。また展示室やトイレなども設置されています。

七沢森林公園、順礼峠直下にある「森のアトリエ」広場のキブシ(木五倍子)

七沢森林公園、順礼峠直下にある「森のアトリエ」広場のミツマタ(三椏)

七沢森林公園、順礼峠直下にある「森のアトリエ」広場の桜

七沢森林公園、順礼峠直下「森のアトリエ」広場に展示されたアルプホルン

飯山観音の桜まつり

森のアトリエの散策も終わり物見峠、白山への関東ふれあいの道を登る。最初は少しの登りがあるが後は緩やかな起伏の繰り返しとなる。ただ物見峠と白山への登りには急傾斜の階段がある。気温は20度近い初夏のような天気だが風がかなり吹く。そのためあまり暑さは感じないが花の撮影などには適さなかった。

飯山観音(長谷寺)本堂

白山山頂で少し休憩し飯山観音へは女坂を下る。

飯山観音の桜まつり

飯山観音の下の広場では、厚木飯山桜まつりをやっていた。桜は三分咲き位でこれからという感じだった。参道を10分ほどかけて歩き赤い橋と県道を渡ってすぐ左のバス停に向かう。すると近くにいた女性がバス停の位置が変わったことを教えてくれる。桜まつり期間中は混雑するためか臨時バス停に替わるようです。臨時バス停は本来のバス停から本厚木方向に100m位先になります。

日向薬師~日向山~順礼峠~白山~飯山観音のコース断面図

コースタイム 歩行4時間 距離10.7km 累積の登り811m 下り-848m
小田急線伊勢原駅(バス)9:15発~9:36日向薬師バス停9:43→10:00日向薬師10:20→10:53日向山11:05→11:17標識→11:46七沢温泉→12:25順礼峠(森のアトリエ散策)13:05→14:00物見峠14:07→14:14むじな坂峠→14:38白山14:46→15:10飯山観音15:28→15:38飯山観音前(バス)~本厚木駅。


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