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東京の山・神奈川の山・関東周辺の山を夫婦で「気ままに山歩き」登山・ハイキング・トレッキングの山行記録です。

奥多摩・サルギ尾根~上高岩山~御岳山奥多摩・サルギ尾根~上高岩山~御岳山

奥多摩・サルギ尾根~上高岩山(1,012m)~御岳山
平成26年(2017)4月19日(水)2名

     

サルギ尾根、上高岩山に咲くイワウチワ

大岳鍾乳洞入口~サルギ尾根~御岳山~ケーブル駅のGPS軌跡

武蔵五日市駅前の1番バス乗場から「上養沢」行に乗る。20人が乗れば一杯になりそうな、かわいらしいマイクロバスだ。10名ほどが立った状態で出発する。途中「瀬音の湯」という温泉施設・スーパー銭湯でかなり降りた。正式には民間が経営する「秋川渓谷 瀬音の湯」というようだ。連れと話をしていたおばあさんもここでのんびり湯につかるのだろう。今年でオープンから10年周年目になるという。終点手前の「大岳鍾乳洞入口」で降りたのは我々2名だけだった。

大岳鍾乳洞入口前にある養沢神社

大岳鍾乳洞入口バス停の直ぐ前方に養沢神社がある。ここの鳥居をくぐり石段を登る。本殿右手脇に「高岩山」の標識がある。サルギ尾根へはここを登って行く。胸を突くような急登とはこういうところだと思う。これから整備するのかも知れないが以前あった立木が伐採されて手がかりが少ない。途中から茶色い鉄パイプの手すりが出てくる。10分ほどの登りで尾根に到達する。そこまでは充分注意して登って欲しい。

最初の急登が相当きつい傾斜なので勾配と斜度を調べてみた。養沢神社の登り口が標高約370m、到着した尾根が約460m、その差90mである。その間の水平距離が約187mなので勾配は48%、斜度は26°となった。ちなみに奥多摩の三大急登と呼ばれるところがある。鷹巣山の稲村岩尾根、本仁田山の大休場(おおやすんば)尾根、三頭山のオツネの泣き坂、六ツ石山の水根ルートなどである。その中でも鷹巣山の稲村岩尾根は勾配40%、平均斜度17°と言われている。また富士山の吉田ルートは勾配26.2%、富士宮ルートは32.6%である。なのでサルギ尾根の登り口の勾配48%がいかに急傾斜かが良くわかる。これ以上勾配がきつかったら登山ではなく登攀である。

勾配は2点間の傾き具合を100m進むごとに、どれだけ登るのかをパーセンテージ(%:割合)で示したものです。道路標識などでは「5%」などと標記されている。 計算式は、2地点間の[(標高差÷水平距離)×100=勾配(%)]となる。また、斜度は斜面の傾きを角度「°」で表したものです。傾斜角度は2点間の水平距離と標高差から直角三角形の角度を底辺の長さと高さから割り出す三角関数を使って割り出します。

胸を衝く急斜面後の針葉樹林帯の登り

急斜面を乗り越えると傾斜が緩やかになり一息つける。短時間に高さ100m近くも登ったと見えて杉林の間から養沢神社の屋根がかなり下に見える。ここからはしばらく針葉樹林帯の登りが続く。やがて樹林帯は広葉樹に変わり尾根は左に蛇行して登って行く。露岩が現れ始めると809mのピークは近い。

ピーク809mのイワウチワ(岩団扇)

809mピークの北斜面(進行方向右側)にはイワウチワが咲いている。例年だと4月中旬が最盛期だが、今年はソメイヨシノの開花も遅かった。そのためイワウチワの開花も4~5日遅いのではと判断して日程を調整した。そして昨日の雨にもやられず山頂直下の斜面に綺麗に咲き始めている。ここにイワウチワが咲くことを知らなければ多分見過ごして通り過ぎてしまうだろう。


ピーク809mのイワウチワ

イワウチワとイワカガミは同じイワウメ科の花である。イワウチワは岩地に生え、葉がうちわ(団扇)に似るためその名がついた。イワウチワは、一見イワカガミ(岩鏡)に似ているが、花はイワカガミより大きくて1つの花茎に1花しか咲かせない点で区別できる。花の咲いていない時期に、葉を比較して両者の区別は容易ではない。イワカガミの葉には強い光沢があるが、イワウチワのそれはやや鈍い光沢である。イワカガミが強い日照がある尾根などにもよく生育するのに比べ、イワウチワは同じ尾根でも半日陰的な所が本来の生育地である。花は4月から5月にかけて咲き、淡紅色か白色で直径2.5cm~3cmほどの大きさである。従ってここサルギ尾根でのイワウチワも幾分日差しのある北側斜面に咲いていた。

ピーク809mのイワウチワ

サルギ尾根、高岩山付近のミツバツツジ

809mピークを過ぎると露岩帯が多くなってくる。高岩山山頂直下に咲くミツバツツジを眺めながら歩を進める。やがてたどり着いたピークが高岩山(920m)である。高岩山の北斜面(進行方向下り)にもイワウチワが咲いている。


サルギ尾根、高岩山のイワウチワ

サルギ尾根、上高岩山のイワウチワ

高岩山からは標高差50mほどの下りになる。やがて鞍部になり登りが始まる。標高差150m、30分ほどの登りである。途中で上から降りてくる夫婦と思しき中年の男女と行きかう。サルギ尾根を登り始めて初めて出会う登山者だ。話の様子では養沢神社からピーク809mと高岩山でイワウチワを見て登ってきたらしい。そして展望テラスまで登って、ここからまた下って行くようなのである。もしかすると麓に車が置いてあるのかも知れない。上高岩山山頂直下には展望テラスが造られている。展望テラスからは北方向には御岳山(御岳神社)や日ノ出山が、西方向には大きな大岳山が見える。展望テラスは遮るものがなく今日はことのほか風が強い。数組いた登山者もすぐに誰もいなくなった。強風でいたたまれず我々も早々に退散することにした。展望テラスから少し登ると標識が出てくる。右は「上高岩山 ロックガーデン(岩石園)」、左は「大岳山 御岳山」である。この標識の直ぐ右側が上高岩山(1012m)の山頂であった。灌木に山名板が付けられている。連れが山頂の北斜面に咲いているイワウチワを見つけた。ここは809mピークより200mほど高いので、イワウチワは咲き始めたばかりで初々しい。つぼみのものも多く5月上旬までは咲いているかも知れない。上高岩山からは標識の「大岳山 御岳山」方向の芥場峠へと歩く。


アズマイチゲ(東一華)

上高岩山から芥場峠(あくばとうげ)へは緩やかなトラバース道となる。途中尾根道コースもあるがすぐに合流する。20分ほど歩くと標識のある分岐に到着する。4年前に来たときはここの標識に「芥場峠」と書いてあったと思ったが、その文字が見当たらない。しかし、ここが「芥場峠」に間違いがないので「ロックガーデン(岩石園)御岳山」方向へと進む。後で調べたところ、4年前のここの標識の写真には確かに「芥場峠」と白文字で書かれていた。その文字が今回見たときは消されていたのだ。7年前ここを訪れた時この先の「鍋割山分岐」が昭文社の地図では「芥場峠」になっていた。その後、昭文社の地図は訂正された。そして、また誰かの手によって標識の「芥場峠」の文字が消されてしまった。「芥場峠」と「鍋割山分岐」、様々なミスや記憶違いや思い違いによって、こういうことが起きるんだなと思う。消した人はここが「芥場峠」ではないと思ったに違いない。昭文社の間違った古い地図を見てそう思ったのだろうか?どうも釈然としない「芥場峠」の場所と標識である。こういう間違いが起きないようこの場所に「芥場峠」の大きな表示板を設置して欲しい。それはさておき先に進むことにしよう。ここ芥場峠から「ロックガーデン(岩石園)御岳山」方向へは左が谷で右側に遊歩道的な道が造られている。この道の右斜面の土手に様々な春の花が咲く。今はアズマイチゲがそこかしこに咲き始めていた。

カタクリ(片栗)

遊歩道的な道はVターンして下って行く。やがて木橋を渡り沢が右側に移る。今度は左側の山の土手にカタクリが咲き始めていた。カタクリは幾つか咲いていたがその後は見かけなくなった。

長尾平へ向かう途中、始まったばかりの新緑

標高900m近いこの地でやっと新緑が始まっていた。例年4月半ばごろだと萌えるような新緑に出会える。しかし今年はやはり4~5日程度遅いように感じられる。まだ、けぶるようなくすんだ緑だ。

長尾平付近に新しくできたトイレ

芥場峠から長尾平へ向かう途中にトイレが新設されていた。トイレの後方には汚水を処理するための設備(写真右端)が作られていた。汚水を処理するにはこれだけの大がかりな設備がいるんだ。だから電気・水道がなく平坦地が少ない山では更に大掛かりな設備になり至難の業なのだろう。場所は芥場峠から行くと天狗の腰掛杉手前にある。東京都環境局

ミツバツチグリ(三葉土栗)

彩色と漆工事で見違えるようになった武蔵御嶽神社本殿

長野県王滝村にあるのが御嶽神社(おんたけじんじゃ)、ここ東京都青梅市御岳山にあるのが御嶽神社(みたけじんじゃ)です。間違いを防ぐためか正式には武蔵御嶽神社となっています。
武蔵御嶽神社由来:御岳神社の創建は第10代崇神天皇7年頃(3世紀から4世紀ごろ)と伝えられています。第12代景行天皇の御代日本武尊御東征のみぎりに難を白狼の先導によって遁れたといわれ、古くより関東の霊山として信仰されています。平安時代の延喜式神名帳には大麻止乃豆天神社(おおまとのつのあまつかみのやしろ)として記されています。山岳信仰の典隆とともに中世関東の修験の一大中心として、鎌倉の有力な武将たちの信仰を集め御嶽権現の名で厄除・延命・長寿・子孫繁栄を願う多くの人達の参拝によって栄えました。天正18年徳川家康公が関東に封ぜられると、朱印地三十石を寄進され、慶長11年大久保石見守長安を普請奉行として社殿を改築し南面だった社殿を東面に改めました。人々の社寺詣が盛んになると共に世に三御嶽の一つとして、御嶽詣も武蔵・相模を中心に関東一円に広がり、講も組織され現在に至っています。明治維新により御嶽神社の社号となり更に昭和27年武蔵御嶽神社と改められました。

ケーブル駅へ向かう途中からの御岳山(御岳神社)

大岳鍾乳洞入口~サルギ尾根~御岳山~ケーブル駅のコース断面図

コースタイム 歩行4時間 距離8km 累積の登り1,149m 下り-668m
JR武蔵五日市駅(バス)9:31~10:10大岳鍾乳洞入口10:13→11:40ピーク809m11:55→12:22高岩山12:30→13:00展望テラス13:25→上高岩山(休憩10分)→芥場峠→14:45長尾平14:53→15:00御岳神社15:15→15:37御岳山(ケーブル)16:10~滝本(ケーブル)→ケーブル下(バス停)16:22~JR御嶽駅。


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