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東京の山・神奈川の山・関東周辺の山を夫婦で「気ままに山歩き」登山・ハイキング・トレッキングの山行記録です。

奥多摩・都民の森~三頭山~三頭ノ大滝奥多摩・都民の森~三頭山~三頭ノ大滝

奥多摩・都民の森~三頭山(1,531m)~三頭ノ大滝 
平成30年(2018)7月14日(土)2名

     

ホツツジ(穂躑躅)

ホツツジはツツジ科の木。落葉性のツツジの仲間。花は穂のように立ち上がって咲く。花は直径1.5cmほどで先は反り返る。秋の紅葉も美しい。

都民の森BS~鞘口峠~三頭山~ムシカリ峠~三頭ノ大滝~都民の森BSのGPS軌跡

武蔵五日市駅を降りてバス停に向かうと既に長い列ができていた。バスが来るのを待つ間にもどんどん列は長くなる。西東京バスの係の人が人数を数えて「臨時バスが3台でます」と言って列を区切っていた。バスが次々やってきて乗車する。座れる人数以上は乗車させないので、西東京バスは良心的だと思った。都民の森まで1時間10分ほどかかるので座って行けるのはありがたい。バスは秋川・南秋川沿いの檜原街道を、役場前や上川乗、浅間尾根登山口などを通って数馬に到着した。途中に茅葺屋根の古民家がいくつか見かけた。数馬からは奥多摩周遊道路を都民の森まで行く。この道路は数馬から都民の森を経由して奥多摩湖の三頭橋まで19.7kmの山岳道路である。バスが登り始めると次第に周囲は開け展望がよくなる。道が良く展望もいいので自転車乗りやライダーが多い。都民の森バス停には定刻前に到着した。

桧原村は東京都でただ一つ(島を除く)の村である。縄文時代から人が住み始めその地形から檜原谷と呼ばれていた。江戸時代になると桧原村と呼ばれ三頭山一帯は木々の伐採を禁じる「お留め山」となる。そのために今日までブナなどの豊かな自然が残っているのかも知れない。桧原村の奥にある数馬はJR武蔵五日市駅から西に約25kmのところにある。南秋川沿いの最上流にあり標高600~700mに位置する。数馬の名の起こりは南北朝時代初めの1336~1340年頃に南朝・後醍醐天皇方の中村数馬(小野氏経:おのうじつね)が戦さに敗れて落人としてこの地に土着したのが始まりとされている。中村数馬の子孫が長野県の戸隠神社から分社したとされる九頭龍神社や養蚕に適した兜造りの家屋などに古い歴史と当時の面影を見ることができる。数馬の里をひらいた中村数馬の末裔が営む古民家の宿「山城」。

都民の森バス停付近

都民の森の駐車場には茶店もある。その前を通って登って行く。道路わきには白いギンバイソウがいくつも咲いている。階段を登り森林館の手前で左へ行く「大滝の路」を目指す人がほとんどだ。階段を真っすぐ進むと森林館の裏手から鞘口峠の道に合流する。

都民の森は他県における「県民の森」に相当し、自然を生かし自然に親しむために1990年(平成2年)に設立された。そのためか数馬から都民の森までのバス料金は無料である(さすがに東京都は太っ腹だ)。奥多摩周遊道路や都民の森の開発により、自然が破壊されたと嘆く人もいる。かっての秘境であった檜原村が誰でも来れる観光地になってしまったのだ。そのため確かに三頭山の自然環境が壊された部分もある。反面、檜原村は観光に従事する人が増え、多くの人が手軽に楽しめる地域ともなった。自然は手つかずに残したいものだが、ある程度の犠牲はやむを得ないのかも知れない。

鞘口峠から三頭山への登り

鞘口峠からは急登が始まる。奥多摩の大抵の山ではスギなどの針葉樹林が多いが、ここはブナなどの自然林がそのまま残されているのがいい。急な登りが続くので休み休み行く。そのため鞘口峠から標高差220mほどの見晴らし小屋まで着くのにかなり時間がかかった。見晴らし小屋はかなり老朽化していて傷んでいるところが多かった。今日は靄っていて展望はあまり良くない。東方向に大岳山方面が見えるだけだった。

三頭山東峰の展望台より大岳山(中央)と御前山(左)

見晴らし小屋からは一旦下って鞍部に達する。鞍部にはにホツツジがたくさん咲いていた。ここから再び三頭山を目指して登り始める。30分ほど登ると右に行く展望台の道が出てきた。ここを登ると直ぐに東峰の展望台に到着した。展望台のベンチで男性2名の登山者が休憩していた。ここからも展望は御前山と大岳山が見えるのみである。展望台は狭いので中央峰へと進む。中央峰は東峰から1,2分のところだった。中央峰にはテーブルベンチが2つあり二組の登山者がいた。そこの一角でザックを下ろす。簡単な昼食をとり30分ほど休憩する。虫がうるさいので早々に退散する。西峰へは標高差20mほど下ると御堂峠という鞍部があった。更に20mほど登ると三頭山西峰だった。ここは広場になっており立派な山名標柱が建てられている。多くの登山者が休憩していた。北方向には鷹巣山が見えたが、南方向の富士山は全く見えなかった。


三頭山西峰山頂

三頭山(みとうさん)は陣馬山などの奥高尾縦走路に続く笹尾根の北端である。奥多摩三山(大岳山・御前山・三頭山)の最高峰である。また多摩川最大の支流である秋川の源頭でもある。三頭山は日本300名山に認定されており、西峰が山梨県境にあるため山梨百名山にもなっている。
三頭山の名前の由来は山頂に3つのピークがあるからと言われている。東峰(1,528m、展望台有り)、中央峰(1,531m)、西峰(1,527m)であり三角点は東峰に置かれている。といっても東峰展望台と中央峰は起伏は少なくしかも80m位しか離れていない。中央峰と西峰は140mぐらい離れていて20mほど下り20mほど登る。

今まで三頭山には数回来たことがあるが、改めて歩いてみて疑問に感じた。それは中央峰と東峰の距離が近すぎるのだ。ほとんど平坦であり距離もごく僅かだ。昔、この山の麓の三つの村がそれぞれの頂に祠を祀っていたという。それでこの山を御堂山(みどうやま・みどうさん)と言った。それが変化して三頭山と呼ぶようになったという。その名残が中央峰と西峰の間にある御堂峠だ。しかし、この山を遠くから見て三つの峰があるというのは間違いだ。何故なら実際には東峰と中央峰は一つのピークで、西峰とで二つのピークにしか見えないはずだからだ。私が疑問に感じたピークのことは以前から指摘されてきたようだ。ただはっきりした決め手がないまま今日に至っている。

三頭山西峰直下の曲がった樹木「三頭山の腰掛ブナ」

三頭山西峰からムシカリ峠方向に下る。するとブナの木のようだが不思議な形に曲がった樹木があった。またがって遊ぶには良さそうだ。どうしてこのような形になったのだろうか?御岳山に「天狗の腰掛杉」というのがある。あれは杉の大木の枝が5~6m上で折れ曲がっている。こちらは幹そのものが曲がっている。世界にはこのような曲がった樹木があるが、なぜこうなるのか原因はまだ分からないようだ。Googleの画像検索で「腰掛ブナ」を見るといろいろ出てくる。がこれほど見事なのはない。この木はまだ名前が付いていないようなので「三頭山の腰掛ブナ」としてみたらどうだろうか。
再び先に進む。急な階段状の下りが続くがよく整備されていて歩きやすい。途中何組もの登ってくる人とすれ違う。山頂から標高差100mほど下りきったところがムシカリ峠だ。ベンチが幾つかあり休んでいる登山者がいた。ムシカリ峠の少し先に三頭山避難小屋がある。

ムシカリ峠から三頭ノ大滝への道

ムシカリ峠とは変わった名前だが、これはムシカリ(虫刈)という木がこの辺りに多いからと思われる。ムシカリはスイカズラ科の樹木で、ブナを中心とした森林に多く生える。葉が虫によく食われるのでこの名がある。ムシカリは4~6月ごろに白い花を咲かせ、秋になると赤い実を付ける。甘酸っぱい実は食べることもできる。別名オオカメノキ(大亀の木)ともいい葉の形が亀の甲羅に似ている。

ムシカリ(オオカメノキ)5月・滝子山にて

ムシカリ峠を左折して三頭ノ大滝方向へ進む。この道はトラーバース道(山の斜面の道)なのであまり風は通らない。そしてどんどん下って行くのでかなり暑い。地図ではこの道は「ブナの路」となっている。沢筋を下って行く。途中東屋があり少し休憩する。


奥深い幽玄な森林

沢沿いの道は石畳の路でもある。階段状に敷き詰めた石が延々と続く。この沢の流れが滝となって落ちるようだ。

シダ(クサソテツ)の群生

これはクサソテツのようだ。草蘇鉄は草丈40~80cm 横幅60~150cm。大きな羽状の葉を広げるシダ植物で太く直立する根茎やその先端から広がる葉の様子がソテツを思わせることによる。

三頭ノ大滝手前の吊橋

三頭ノ大滝が近づき吊橋が見えてきた。吊橋を渡ると左手にトイレと休憩小屋があった。ここを過ぎるとベンチがあり中年の男女が休憩していた。この先に滝見橋という全長50m位の吊橋がある。この橋は行き止まりになっていて下からの高さは25~30mぐらいは有りそうだ。三頭ノ大滝を見るためだけに造られた贅沢な橋だ。滝見橋の中央付近からは三頭ノ大滝の全景が見える。


三頭ノ大滝(長くて1枚では収まらず3枚の合成写真)

三頭ノ大滝は落差35mだそうだ。しかしとてもそんな風には見えない。もっと大きく見えるのだ。滝の落ち口から滝壺まで目見当で70~80mぐらいに見えた。多分落差は35mなのだろうが傾斜して落ちているので長く見えるのだろう。なかなか見応えのある滝である。惜しむらくは撮影の時、吊橋のワイヤーがどうしても入ってしまうのだった。

ヤマアジサイ(山紫陽花)

ヤマアジサイはユキノシタ科の木。湿った林や沢沿いに生える。別名サワアジサイ。

木材チップが敷き詰められた大滝の路

三頭ノ大滝を楽しんでからバス停に向かう。ここからは「大滝の路」という名が付いている。今までの山道と比べるとふかふかで何と快適なことよ!連れの「ああ~楽だ!」の声。通路一面に挽きたてのウッドチップが敷き詰められている。ヒノキチオールのいい香りがする。何でもこの路は東京都内で初めて森林セラピーロードに認定されたのだ。全長1Km、片道20分の都民の森のメインコースでもある。

スギの木が額縁代わりの森林風景

鞘口峠から三頭山に登りムシカリ峠を経て大滝の路を歩いてきた。そしてここで初めて杉の木を見た。杉の木を額縁に見立てたら緑の森が絵になった。

「大滝の路」から生藤山(中央)方面の展望

「大滝の路」の終点近くに生藤山(990m)方面の展望地があった。先ほど登った三頭山西峰からムシカリ峠をそのまま直進すると槇寄山からの笹尾根が続く。更に進むと、今見えている生藤山に達するのだ。あそこまで歩くにはかなりの距離がある。生藤山の右方向が三頭山方向で三頭山までは28km位ある。生藤山の直ぐ近くには三国峠(さんごくとうげ、960m)がある。そこは三国(武蔵・東京都と甲斐・山梨県と相模・神奈川県)の境になっている。
時間があるので都民の森の茶店でアイスクリームを食べて休憩する。バス停前はオートバイの駐車場だ。ライダーたちが次々に出発していた。バスは定刻に出発し予定通り武蔵五日市駅に着いた。

都民の森BS~鞘口峠~三頭山~ムシカリ峠~三頭ノ大滝~都民の森BSのコース断面図

コースタイム 歩行3時間20分 距離7.1km 累積の登り下り±858m
武蔵五日市駅(バス急行)8:10発~数馬~9:14都民の森9:26→9:55鞘口峠10:05→10:57見晴らし小屋→三頭山東峰展望台→11:38中央峰12:08→西峰12:17→12:30ムシカリ峠→(東屋にて休憩10分)→13:30三頭ノ大滝13:40→14:02都民の森(茶店で休憩・バス)14:35発~数馬~武蔵五日市駅。


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